2007年 24時間耐久レースレポート ~その6~

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周回を重ねる白いGTI-R







タイヤも最後の1セットで山もまだある。
オイルはドライバーチェンジの時に足してある。
水温も安定している。


心配なのはブレーキのみ。





ホームストレート脇で白いGTI-Rの走りを見ながら無線で@青山氏にGTI-Rの調子を確認する。






「この程度なら大丈夫。」

という無線から聞こえる@青山氏の声が心強かった。




気持ちのいい晴天と@青山氏との無線のやり取りから安心したせいか、私は急激な眠気に襲われた為、ゴール前にちょっと仮眠をとろうと隣にいた@ヤッシー氏に無線をお願いし、第二パドックの自分の車へと向かった。





左足に付けていた装具を外し、汗と埃で汚れたTシャツとツナギを着替え、ゴールの時にはサッパリした気分で迎える準備を済ませ、タントの助手席に収まると不意に携帯が鳴った。




@M310氏からだった。



「どこにいるんですか?」



基本的にピットを離れる時は誰かに行き先を伝えて行くようにしており、私は@ヤッシー氏に”第二パドックで仮眠をとってくるから”と言っておいたのだが・・・・・




「第二パドックの自分の車にいるよ。ちょっと仮眠をとるから、ゴール15分前になったら呼んで。」
というと



「駄目ですよ!すぐにピットに戻ってきてください!」





@M310氏にしては珍しく強い口調だった。





「最後はJINNさんが走ってください!チェッカー15分前になったら@青山さんもピットに戻ってきますから!」






私はその言葉が嬉しかった。
年末年始から左膝の手術で長期入院していた為、レースまでにクラッチを踏めるようになるかも分からなかった。



レース自体走れるかどうかも。



しかしレース前の整備もろくに参加できずにいたのにレースに参加する上での一番栄誉がある最終走者を、二年連続で私がやる訳にはいかなかった。




「私は去年チェッカーを受けさせてもらったし、今年は出来ないよ。そのまま@青山さんにチェッカーを受けさせて。
 レース前の整備も頑張ってくれたからそれだけの資格が@青山さんにはあるはずだよ。
 それでなかったら@渡辺君にチェッカーを受けさせてあげて。」
と私は伝えた。





私は携帯を切ると仮眠をとろうと再びタントの助手席に体を沈めた。







するとまた再び携帯が鳴った。





今度は@親方からだった。





携帯に出ると
「何やってんの!はやくピットに来て!」
私が”もしもし”も言わないうちに一方的話が始まった。



「あ、いや、さっき@M310君とも話したけど・・・・」
と私が言いかけた時、





「駄目だよ!兄貴がゴールしなきゃレースが終わんないよ!!」




有無を言わさぬ口調だった。




「分かりました。取り合えずピットに戻ります。」





私は左足に装具を取り付け、ピットに向かった。







ピットに戻ると@大氏が私のヘルメットを持って近づいてきた。





「おっちゃん、はやく準備して!」
笑いながら私にヘルメットを渡してきた。




@親方が
「次の周回で@青山さんが戻ってくるよ!」
と伝えてくる。




「ちょっとまって!俺は去年チェッカーを受けているから今年は他の人受けてよ!」
私はヘルメットを一旦椅子の上に置き、@渡辺氏の方を見た。



@渡辺氏は私のヘルメットを取って私に渡すと、
「もう皆暑さでクタクタなんですよ。はやく準備してください。」
と応えてきた。




横から@大氏が無線のイヤフォンを私の右耳に突っ込みながら
「ぐちゃぐちゃ言ってないで早くしろって。最後までちゃんと付き合ってやから。」
と私の身支度を準備し始めた。






まさか自分の言った言葉を返されるとは・・・・・





腹を括るしかなかった。





チェッカーフラッグが振られるまで残りは15分。






15分なら今の体力でも全力で走れるだろう。





私は無線のイヤフォンが外れないよう右耳にガムテープを貼り、ヘルメットをかぶった。
そして使い慣れたグローブを握ると@青山さんの載る白いGTI-Rがピットに戻ってきた。






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白いGTI-Rに押し込まれる私






参加しているメンバー全員が最後のピット作業で走り回る。





私が運転席に納められた時、@よーへい氏から無線チェックのコールが入る。
”無線OK!”と応えると
「気をつけて。」
と独特の穏やかな口調が聞こえた。
私は
「ありがとう。」
としか応えることが出来なかった。




すると走り終えた@青山氏が近づいてきた。




「コースラインを外すとタイヤカスやダストで滑りやすいから気をつけて!」
お互いヘルメット越しだったので怒鳴るような言葉だった。





私の右肩に置かれた@青山氏の右手がさらに安心感を与えてくれた。




「ありがとう!」



私も@青山氏に聞こえるように怒鳴るように応えた。





タイヤやブレーキをチェックしているメンバー達が立ち上がるのが分かり、ボンネットが閉じられた。
すると@大氏が”OK?”とハンドシグナルで確認してくる。
私は頷くとシフトを1速へと入れた。




@大氏がピット後方を確認すると”行け!”とばかりに力強くピットの出口を指差した。








私はコースへと飛び出していった。








レースはゴール直前ということもあり、トップ集団以外はペースを落としていた。
不思議なことにトップ集団に一度抜かれただけで、後はまったく他の車両に遭遇しない。
まるで一人旅でもしているかのようだった。






私は@青山氏の忠告通りコースラインを外さないように注意して走る。






するとコース内が見える各ポイントに何人かのメンバーが手を振っていた。






コース上でGTI-Rを運転するのは確かに自分一人だけだった。






だが、走り続けているのは自分一人だけではなかった。
チームのメンバー全員が一緒だった。







無線から聞こてくるメンバー達の声が、
各ポイントやホームストレート脇で手を振るメンバー達が、
全員が走っていた。












そして一年前と同様、その時が来た!












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2006年は完走出来るかどうか、不安な状態で迎えた24時間。








2007年は24時間を走り切ろうという全員の気持ちと迎えた。






無線からも「完走おめでとぉ~!」という声が響いてくる。






私は早くピットに戻りたい気持ちに駆られた。







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ピットレーンに入っていくと各ピットからも他のチームの人達が
「おめでとお!」
と拍手で迎えてくれる。







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そしてピットに戻るとチームの皆が暖かく迎えてくれた。





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皆で勝ち得た”24時間完走”だった。






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完走後にレースクィーン(?)と













そして、2008年。




私達は三度このエビスサーキット東コースへと向かう。






またこの24時間を走りきった者だけが受けられるチェッカーを目指して。





           おわり






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  by pulsar_14 | 2008-05-30 02:04 | 報告

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